
年金繰下げ受給の損益分岐点 完全ガイド
公的年金は受給開始を 65 歳から最大 75 歳まで遅らせると、月 0.7% ずつ・最大 84% も増額されます。長生きすれば得ですが、それまでの生活費は別途必要。寿命と資金繰りの両面から最適点を考えます。
最終更新 2026-05-20解説記事 / 年金約6分で読めます
繰下げの仕組み(月 0.7% 増額)
- 受給開始を 65 歳から遅らせるごとに 月 0.7% の増額
- 最大 75 歳まで繰下げ可 (120 ヶ月) → 84% 増
- 増額率は 生涯にわたって継続。一度上がれば下がらない
- 国民年金 (老齢基礎) と厚生年金は別々に繰下げ可能
- 繰下げ中は年金を受け取らないため「未請求」状態 (年金請求書を出さない)
| 受給開始 | 増額率 | 月 15 万 → 増額後 |
|---|---|---|
| 65 歳 | ±0% | 15.0 万 |
| 68 歳 | +25.2% | 18.8 万 |
| 70 歳 | +42% | 21.3 万 |
| 72 歳 | +58.8% | 23.8 万 |
| 75 歳 (上限) | +84% | 27.6 万 |
損益分岐点の年齢
繰下げで「もらえなかった分」を、増額された月額で取り戻し終わる年齢が損益分岐点です。約 11〜12 年で逆転します。
| 繰下げ年齢 | 損益分岐 | 日本人平均寿命との比較 |
|---|---|---|
| 66 歳開始 | 77.7 歳 | 男女とも余裕で超える |
| 70 歳開始 | 81.7 歳 | 男 (81.5) 微妙・女は得 |
| 72 歳開始 | 83.7 歳 | 男は損リスク・女は得 |
| 75 歳開始 | 86.7 歳 | 男は損リスク大・女 (87.6) は得 |
※ 税・社会保険料控除前。実質的な分岐点は手取りベースでさらに 1〜2 年伸びる場合あり。
繰下げが向く人・向かない人
向く人
- 65 歳以降も働き続ける予定
- 退職金・私的年金で生活費を賄える
- 両親・祖父母が長寿の家系
- 健康状態が良好
- 配偶者が年下 (遺族年金で長く支給)
向かない人
- 65 歳時点で生活費に余裕がない
- 持病・健康不安あり
- 独身で配偶者の遺族年金影響なし
- 加給年金 (配偶者特別加算) が貰える状態 → 繰下げで失う
- 在職老齢年金で減額対象になっている
繰下げ中の生活費をどう賄うか
- 在職継続: 65〜70 歳まで働く。健康と職場次第で最も自然
- 退職金の計画的取崩し: 月 15 万 × 60 ヶ月 = 900 万を 65〜70 歳で使う
- iDeCo・企業型 DC の活用: 60 歳から受取可能 (繰下げと組み合わせ易い)
- NISA からの取崩し: 配当・売却益が非課税のため節税効果大
- 遺族・障害年金とは別建て: 老齢年金のみ繰下げ可
判断チェックリスト
- 65 歳以降の収入源 (在職・退職金・iDeCo 等) を試算したか
- 家系・健康状態から寿命の見込みを考えたか
- 配偶者の加給年金対象か確認したか
- 遺族年金の影響 (配偶者への支給額) を確認したか
- 基礎年金と厚生年金を分けて繰下げる選択肢を比較したか