外国税額控除 完全ガイド
米国株配当に課された米国側10%の源泉税を、確定申告で日本の所得税・住民税から差し引いて取り戻す制度の使い方を、計算式・申告書類・繰越まで徹底解説します。
外国税額控除とは
海外で源泉徴収された税金を、日本で課される税金から差し引いて二重課税を回避する制度です。米国株配当の場合は次の流れで二重課税が発生します:
- 米国法人が配当を支払う段階で 米国源泉税10%(W-8BEN提出済前提・未提出は30%)
- 日本の証券口座で受領する段階で 日本源泉税20.315%(所得税15% + 復興2.1% + 住民税5%)
- 合計で約28.3%が源泉徴収済
外国税額控除を使うと、日本の所得税・住民税から米国分を差し引いて還付されます。確定申告しないと自動では戻りません。
控除限度額の計算式
全額が無条件に戻るわけではなく、上限があります:
所得税控除限度額 = 所得税額 × (調整国外所得 ÷ 所得総額)
住民税控除限度額 = 所得税控除限度額 × 30%
(住民税分は道府県民税12% + 市町村民税18% = 30% という配分)
「国外所得」が小さい個人投資家であれば、所得税のFTC枠だけで米国分10%は概ね収まりますが、配当が大きい場合は所得税枠で余った分を住民税枠で消化する流れになります。
確定申告の手順と必要書類
- 特定口座年間取引報告書を準備
証券会社からダウンロード(マイナンバー連携で電子交付)。配当のうち「外国所得税の額」欄が米国源泉税10%分。
- 配当の課税方式を選択
「申告分離課税」を選んで配当所得を申告(一般的)。総合課税は課税所得が低い人向けだが、米国法人配当は配当控除の対象外なので分離が無難。
- 「外国税額控除に関する明細書」を作成
確定申告書付表。国別・納付日・通貨・所得種類・税額を記載。e-Taxなら入力フォームで完結。
- 確定申告書 第一表・第二表に転記
第一表「外国税額控除」欄に控除額、第二表「住民税」欄に住民税控除額を記載。
3年繰越の使い方
控除しきれない米国税は、翌年以降3年間繰り越せます。逆に、当年「控除限度額が余った」場合もその枠を3年繰越できます。
- 米国株配当の年変動が大きい人は、繰越のおかげで使い切れることが多い
- 毎年確定申告を継続することが繰越の条件(一年でも申告しないと権利消滅)
- 繰越額は「外国税額控除に関する明細書」の前年からの繰越欄に記載
NISA口座だと使えない理由
NISA口座で受け取る米国株配当は、日本側は非課税になりますが米国側10%は通常通り引かれます。そしてNISA口座は確定申告の対象外のため、外国税額控除を使って米国分を取り戻すことができません。
判定チェックリスト
以下に当てはまる人はFTCの確定申告で還付が見込めます:
- 特定口座(一般口座)で米国株 / 米国株ETFの配当を受け取った
- 年間で米国源泉税が数千円以上控除されている
- 給与等で日本の所得税が発生している(無職・所得ゼロだとFTC枠も0)
- 確定申告を毎年継続できる
逆に、ほぼ全額NISA運用 or 国内株のみの人はFTC不要です。